環境経済・政策学会 設立20周年記念

20周年記念シンポジウム

記念シンポジウム「自然といきる:環境未来都市としての次の一歩」  ※終了しました

  富山県は4大公害の一つであるイタイイタイ病という過去を乗り越えた経緯もあり、環境先進都市を目指した政策に積極的に取り組んでいる。その成果は、富山市がOECDによる報告書でコンパクトシティのモデル都市として紹介されるなど、着実な進展をみせている。3000m級の立山連峰をはじめとして生活都市圏の後背地に豊かな自然を抱えることもあり、自然との共生が極めて自然なものとして市民生活に溶け込んでいることも大きな特徴である。
  本年3月14日の北陸新幹線の開通により、首都圏からの旅行者を中心に観光客が着実に増加している。こうした観光客を引きつけている大きな要因の一つが立山黒部アルペンルートに代表される中部山岳地域である。自然資源の経済利用、観光利用は地域創生の観点からみても重要な要素であるが、一方で利用と保全のバランスを常に意識することが持続可能な 経済発展のためには不可欠である。人間の経済活動が活発になった結果、自然との間の十分 なバッファーを失ってしまうとしばしば新たな問題が顕在化してくる。
  例えば、全国的には被害が少ないとみられてきた富山県においても、近年鳥獣による被害が急激に増加している。イノシシによる県内の農作物被害額は2007年から2011年までの間に4-5倍に増えている。また、人口減少による中山間地域での限界集落の増加、高齢化による農林業人口の減少等は被害拡大を招く重要な要素でもある。こうした問題の解決は急務であるが、長い時間をかけて変容を遂げた人間社会と自然との接点を修正していくにはじっくりと腰を据えた取り組みが必要である。
  そのためには市民一人一人がその重要性を理解していくだけでなく、多くの市民が共有できる次世代へのグランドデザインが必要である。本シンポジウムでの報告で、多くの市民が富山県の豊かな自然資源を再認識することを通じて、自然との共生に向けた将来へのおおまかな指針を共有するきっかけとしたい。それは、環境未来都市のトップランナーとして次のステップを踏み出すことになるだけでなく、我が国の他の多くの同様の課題を抱える地方都市に対しても示唆に富むものになると考える。
日時 2015年12月18日(金)13:00-17:00
場所 富山第一銀行 本店 9F ファーストバンク・キラリホール
(〒930-8630 富山市西町5番1号)
参加登録 こちらから
案内チラシ こちらから
■プログラム
総合司会 山本 雅資(富山大学)
13:00-13:05 開会挨拶
鈴木 基史(富山大学 副学長(地域貢献担当))
13:05-13:35 基調講演
「環境大臣会合の富山開催に期待すること」
梶原 成元(環境省 地球環境局長)
13:40-14:00 講演:生物多様性
藤田 香(日経エコロジー編集/日経BP環境経営フォーラム 生物多様性プロデューサー)
14:05-14:25 講演:森林経営
石崎 涼子(森林総合研究所 林業経営・政策研究領域 主任研究員)
14:25-14:40 休憩・ポスター閲覧
14:40-15:00 講演:鳥獣保護管理
山崎 麻里(伊勢志摩サミット三重県民会議事務局:環境省より出向中)
15:05-15:25 講演:環境法政策
神山 智美(富山大学 経済学部経営法学科 准教授)
15:25-15:45 休憩・質問用紙回収・ポスター閲覧
15:50-16:45 パネルディスカッション (司会:山本雅資)
・登壇者+和田直也(富山大学 極東地域研究センター:生態学)
16:45-16:50 閉会の言葉
大沼 あゆみ(慶應義塾大学 教授 :環境経済政策学会前会長)

後援:富山市(予定)・富山第一銀行(予定)