持続可能な社会を構築するためには、将来世代の視点・利益を反映した意思決定が欠かせません。
しかし、私たちの社会の仕組みのもとでは、このような将来世代の視点を明確に反映した意思決定や政策判断はなかなかできません。私たちの社会には二つの大きな柱があります。その一つが市場です。市場は、私たちの目の前の欲望を実現してくれる非常に優秀な仕組みですが、将来世代を考慮に入れて資源の配分をする仕組みではありません。一方、市場を補うはずのもう一つの柱である民主制も現世代の利益を実現する仕組みであり、将来世代を取り込む仕組みではありません。というのは、将来世代は 存在しないため、彼らの声が届かないのです。さらには、人は目の前のことに心を奪われ、将来のことを楽観的に判断しがちなため、将来世代を十分に配慮しての判断ができません。このように将来世代の様々な資源を「惜しみなく奪っている」のが現世代なのです。
この大きな課題に対処するため、存在しない将来世代に代わって「仮想将来世代」を現世代に導入し、新たな社会を創造する枠組みが「フューチャー・デザイン」です。大阪大学環境イノベーションデザインセンターに集う研究者を中心に多くの研究者が、フューチャー・デザインに関わる理論の構築、被験者を用いる実験、現場での実践に取り組んできました。この研究の最初の成果として『フューチャー・デザイン』(西條編著,勁草書房,2015)を出版しています。
フューチャー・デザインの枠組みを紹介し、理論、実験、地域実践について最新の情報を報告し、皆さんと共に新たな社会の創造を考えるのが、この環境経済・政策学会20周年記念シンポジウムです。
20周年記念シンポジウム
第5回記念シンポジウム「フューチャー・デザイン」 ※終了しました
日時 | 2015年9月21日(月・祝)13:00-18:30 | 場所 | 大阪大学吹田キャンパス コンベンションセンター1F・会議室1 |
参加登録 | お名前・ご所属を記入の上、以下のメールアドレス宛にお申込みください。 event_register[at]ceids.osaka-u.ac.jp ※[at]を@に置き換えてください。 | 案内チラシ | こちらから |
■プログラム
13:00-13:10 | 開会挨拶 寺西 俊一 (環境経済・政策学会長・一橋大学大学院経済学研究科特任教授) 田中 敏宏 (大阪大学大学院工学研究科教授) |
13:10-13:40 | 「フューチャー・デザイン」 西條 辰義 (一橋大学経済研究所教授) |
13:45-14:15 | 「イノベーションとフューチャー・デザイン」 青木 玲子 (九州大学副学長) |
14:20-14:50 | 「持続可能社会に向けたフューチャー・デザイン研究と地域実践の萌芽」 原 圭史郎 (大阪大学環境イノベーションデザインセンター特任准教授) |
14:55-15:25 | 「将来世代の創り方」 上須 道徳 (大阪大学環境イノベーションデザインセンター特任准教授) |
15:25-15:45 | 休憩 |
15:45-16:15 | 「矢巾町における持続可能な水道事業とフューチャー・デザイン」 吉岡 律司 (岩手県矢巾町上下水道課係長) |
16:20-16:50 | 「地域社会における将来視点の実装 ─自治体政策にフューチャー・デザインを織り込むには?」
後藤 圭二 (吹田市長) |
16:55-17:25 | 「ドメイン投票とフューチャー・デザイン」 上條 良夫 (高知工科大学経済・マネジメント学群准教授) |
17:30-18:30 | パネル討論 |
18:30-18:35 | 閉会挨拶 山中 伸介 (大阪大学環境イノベーションデザインセンター副センター長) |
★本シンポジウムのお問い合わせ先:大阪大学 環境イノベーションデザインセンター事務局
TEL: 06-6879-4150